北川俊作

名前

北川 俊作

身分

助教

研究手段

高圧下測定、核磁気共鳴法(NMR)、核四重極共鳴法(NQR)

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研究紹介のページです。

これまでに行った研究成果を紹介しています。

連絡先
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 理学部5号館140
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e-mail: kitagawa.shunsaku.8u + at + kyoto-u.ac.jp

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Last updated: Aug. 30, 2019

研究紹介

研究成果一覧

研究成果について簡単に説明しています。

鉄系超伝導体BaFe2(As1-xPx)2における超伝導と反強磁性ゆらぎとの普遍的な関係 [2019年08月]
鉄系超伝導体BaFe2As2は様々なドーピングや圧力によって反強磁性が抑制され、超伝導が発現します。我々はAsの一部を等価数のPで置換したBaFe2(As1-xPx)2に対して圧力をかけ、P置換量と圧力という2つのパラメーターを変化させることで超伝導転移温度を支配する本質的なパラメーターを探索しました。図にあるように様々なパラメーターにおける超伝導転移温度は反強磁性量子臨界点との距離θでスケールさせることができます。これは超伝導転移温度がθと密接に関係している、つまり、反強磁性ゆらぎと超伝導が強く相関していることを示しています。本研究は京大量子凝縮物性研、東大との共同研究です。この結果はPhys. Rev. B誌にRapid Communicationとして掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2019年8月のTopicsの図1
超伝導体BaTi2Bi2Oにおける電子ネマティック転移の発見 [2018年12月]
BaTi2Bi2OはBiサイトを他のニクトゲン(As,Sb)に置換することで物性が大きく変わる物質です。BaTi2As2Oは200KでネマティックCDWと呼ばれる相に相転移します。この相転移温度はSb置換によって減少し、Sbエンド(BaTi2Sb2O)では転移温度は約40Kです。Sbエンドではさらに転移温度1.6Kの超伝導が存在しますが、様々な実験からs波超伝導と考えられています。さらに、SbをBi置換するとCDW転移温度は減少して、Bi20%付近で消失します。超伝導転移温度もBi40%程で消失しますが、さらにBi置換すると超伝導が再出現してBaTi2Bi2Oでは超伝導転移温度は4.6 K付近です(図左)。我々はNMR/NQRスペクトルの測定を行い、BaTi2Bi2Oにおいても45K以下で電子ネマティック秩序が存在することを発見しました(図右)。これはこれまでの測定からは発見されていなかった相転移です。本研究は東大物性研との共同研究です。この結果はPhys. Rev. B誌に掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2018年12月のTopicsの図1
63Cu-NMRによる重い電子系超伝導CeCu2Si2におけるFFLO状態が存在することの証拠 [2018年10月]
重い電子系超伝導体CeCu2Si2は世界で最初に発見された強相関電子系における超伝導体です。この超伝導体では上部臨界磁場が強く抑制されたパウリリミットが効いた状態が実現しており、上部臨界磁場近傍でFFLO超伝導状態が実現している可能性が指摘されていました。しかし、これまでの研究ではFFLO状態を示す結果は得られていませんでした。われわれは核スピン-格子緩和率1/T1が上部臨界磁場近傍でのみ超伝導状態で増大する振る舞いを観測しました。これは最近、有機物超伝導体でも見られた振る舞いでFFLO超伝導状態の存在を示唆しています。本研究はマックスプランク研究所との共同研究です。この結果はPhys. Rev. Lett.誌に掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2018年10月のTopicsの図1
119Sn-NMRから見たアンチペロブスカイト酸化物Sr3-xSnOのSr欠損量による常伝導状態の変化 [2018年09月]
アンチペロブスカイト酸化物Sr3-xSnOはペロブスカイト酸化物の金属サイトと酸素サイトを入れ替えた構造を持っています。当研究室によりSr欠損したものが超伝導になることを発見しましたが、Sr欠損が少ないものは半導体的な電気抵抗を示し、バンド計算からトポロジカル結晶絶縁体になっていると考えられています。我々は微視的な測定手段である119Sn-NMRを用い、超伝導になる相はSr欠損によってホールドープされた通常金属相であるのに対してSr欠損の少ない相がディラック金属的なふるまいを示すことを明らかにしました。この結果はPhys. Rev. B誌に掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2018年9月のTopicsの図1
重い電子反強磁性超伝導体UPd2Al3の高磁場領域での異常な超伝導状態 [2018年01月]
UPd2Al3は15Kで反強磁性転移を示した後、2Kで超伝導転移を示す、反強磁性と超伝導が共存する物質です。この物質では高磁場にFFLO相と呼ばれるギャップの大きさが空間変化している超伝導状態が存在する可能性が長い間議論されてきましたが、微視的測定による証拠はありませんでした。我々は核磁気共鳴の線幅が高磁場領域で大きくなることを明らかにしました。これは、FFLO相の存在と矛盾しません。本研究は名古屋大学との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2018年1月のTopicsの図1
核磁気共鳴、核四重極共鳴を用いた重い電子系超伝導体CeCu2Si2の超伝導、磁気状態 [2017年10月]
重い電子系超伝導体CeCu2Si2は世界で最初に発見された強相関電子系における超伝導体です。この物質の超伝導対称性は長い間、異方的であると考えられてきましたが、最近の比熱測定から等方的でマルチギャップな超伝導対称性が提案されました。我々は核磁気共鳴、核四重極共鳴測定から等方的超伝導の兆候を観測することに成功しました。また、純良な単結晶を用いてこの物質の超伝導、磁気状態を詳細に研究しました。 本研究はマックスプランク研究所との共同研究です。この結果はPhys. Rev. B誌に掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2017年10月のTopicsの図1
La置換により誘起された(Ca1-xLax)FeAs2における反強磁性状態に圧力をかけることで超伝導が出現することを発見 [2017年10月]
鉄系超伝導体(Ca1-xLax)FeAs2は他の鉄系超伝導体と異なり、La置換により電子ドープすると、反強磁性相が出現します。我々はこの基底状態が反強磁性相の(Ca1-xLax)FeAs2に圧力を加えることで超伝導が出現することを発見しました。これはLa置換とは異なる効果であり、むしろCoやNiを置換する効果と似ています。本研究は岡山大学での研究成果で、野原研との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。 ⇒もっと読む
2017年10月のTopicsの図2
天然鉱物Cu12Sb4S13の常圧のNMR測定および圧力温度相図 [2015年08月]
天然鉱物Cu12Sb4S13は常圧85Kにおいて金属絶縁体を示す物質です。我々はこの物質の基底状態の詳細を調べるために常圧でのNMR測定および圧力下電気抵抗、磁化率測定を行いました。我々のCu-NMR測定から基底状態は非磁性であることが明らかにしました。 また、圧力下で金属絶縁体転移が抑制されること、更なる高圧下で新たな異常が現れることも明らかにしました。 本研究は岡山大学大学院自然科学研究科の野原研究室、神戸研究室、京都大学の石田研究室との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。 ⇒もっと読む
2015年08月のTopicsの図1
鉄系超伝導体Ca10(Ir4As8)(Fe2-xIrxAs2)5の圧力温度相図の作成 [2014年12月]
Ca10(Ir4As8)(Fe2-xIrxAs2)5は鉄系超伝導体の中でも珍しい磁性を伴わない構造転移後にTc = 16 Kの超伝導を示す物質です。本論文では圧力下電気抵抗測定によって0.5GPa付近で超伝導と構造相転移がほとんど同時に抑制されることを明らかにしました。 本研究から鉄系超伝導体における磁性と無関係な構造と超伝導の重要性が明らかになりました。 本研究は岡山大学大学院自然科学研究科の野原研究室との共同研究です。この結果はPhys. Rev. B誌に掲載されています。 ⇒もっと読む
2014年12月のTopicsの図1
NMRによるCeRuPOの圧力下相図の研究:Ce(Ru1-xFex)POとの比較 [2014年10月]
CeRuPOは重い電子系では珍しいTC = 15 Kの強磁性体です。我々は先行研究においてRuサイトにFeを置換することによって磁気相関が2次元的になることで強磁性量子臨界点が現れることを明らかにしました。本研究ではNMRという微視的な測定手段を用いてCeRuPOの圧力下相図と磁気的相関の圧力変化を調べました。NMR測定の結果、圧力下では強磁性状態が反強磁性状態に変化すること、磁気相関の次元性が圧力下では変化しないことを明らかにしました。本研究は神戸大学での研究成果です。この結果はPhys. Rev. B誌に掲載されています。preprintはこちら⇒もっと読む
2014年10月のTopicsの図1
鉄系超伝導体LaFe(As1-xPx)Oにおける超伝導と反強磁性の関係 [2014年2月]
磁性と超伝導の相関は固体物理の研究の中でも盛んに研究されているテーマの一つです。我々はP-NMRを用いて鉄系超伝導体LaFe(As1-xPx)Oの反強磁性と超伝導の関係を調べ、(1)反強磁性と超伝導が密接な関係を持つこと、(2)この系が反強磁性相を二つ持つ特異な相図を持つこと、を明らかにしました。本研究は浙江大学のCao Wang博士、Guang-Han Cao教授、Zhu-an Xu教授との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。またこの論文はEditors' choiceに選ばれました。preprintはこちら⇒もっと読む
2014年1月のTopicsの図1
天然鉱物AuTe2における圧力誘起超伝導の発見 [2013年9月]
AuTe2はカラベラス鉱と呼ばれる天然に存在する鉱物でひしゃげた(変調のある)単斜晶の結晶構造をしています。AuTe2においては2.5GPa以上の高圧で結晶構造が三方晶に変化することが知られています。本論文では圧力下電気抵抗、交流磁化率測定によってAuTe2の高圧相で超伝導が発現することを発見しました。 本実験結果はAuTe2のような天然に存在する単純な組成の物質でも外力を加えることで超伝導になる好例といえます。 本研究は岡山大学大学院自然科学研究科の石井博文氏、工藤一貴助教、野原実教授(試料作製)と神戸大学大学院理学研究科の播磨尚朝教授(バンド計算)との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。 ⇒もっと読む
2013年9月のTopicsの図1
微視的観点からみたBaTi2Sb2Oの通常状態と超伝導状態 [2013年2月]
BaTi2Sb2Oは新しく発見されたTc ~ 1 Kの超伝導体です。この物質は50 K付近で何らかの相転移に伴う電気抵抗や磁化率の異常を見せた後に、超伝導になる点や3d電子を1個含む二次元Ti2O面が超伝導に重要である点など銅酸化物高温超伝導との類似点が多くあることから注目が集まっています。 私たちは微視的な測定手段である核四重極共鳴法を用いて50K付近の異常が整合電荷密度波である可能性が高いこと、この電荷密度波と超伝導が微視的に共存していること、超伝導の対称性がs波であることを明らかにしました。 本研究は京都大学大学院工学研究科の中野晃佑氏、矢島健助教、陰山洋教授(試料作製)との共同研究です。この結果はPhys. Rev. B誌にRapid Communicationとして掲載されています。 ⇒もっと読む
2013年2月のTopicsの図2
Ce(Ru1-xFex)POにおいて磁気相関の次元性を変化させることにより強磁性量子臨界点が現れることを発見 [2013年2月]
私たちは先行研究において、二次元的な結晶構造を持つ重い電子系物質Ce(Ru1-xFex)POでFe置換量xを変化させることで絶対零度における二次の相転移点、量子臨界点(Quantum Critical Point; QCP)が現れる特異な相図を示すことを明らかにしました。Ce(Ru1-xFex)POで得られた相図は従来強磁性量子臨界物質の相図と大きく異なるため、その相図の相違の起源に興味がもたれます。私たちはCe(Ru1-xFex)POをさらに詳しく実験、解析することによってこの系では磁気相関の次元性がFe置換とともに低下し、磁気相関が2次元的になることで強磁性QCPが現れることを明らかにしました。 本研究は慶応大学の中村哲郎氏、的場正憲教授、神原陽一准教授(試料作製)との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。またこの論文はEditors' choiceに選ばれました。 ⇒もっと読む
2013年2月のTopicsの図1
Ce(Ru1-xFex)POにおける強磁性量子臨界点の発見 [2012年10月]
絶対零度における二次の相転移は量子臨界点(Quantum Critical Point; QCP)と呼ばれています。強相関電子系では種々の物質で圧力や、磁場、元素置換などによって磁気相転移の温度が変化し、QCPが現れることがわかっています。また、QCP近傍では量子臨界ゆらぎを起源とした非従来型の超伝導や電子ネマティック秩序など興味深い量子現象が発見されており、新たなQCPの探索やQCP近傍の物性測定は強相関電子系のメインテーマの一つとなっています。これまでに反強磁性QCPについて多くの研究がなされてきましたが、強磁性転移に関しては極低温で転移の次数が二次から一次に変化することが理論、実験の両面から報告されており、強磁性QCPが本質的に存在するかどうかという点に関して近年問題になっています。私たちは今回二次元的な結晶構造を持つ重い電子系物質Ce(Ru1-xFex)POにおいて新たな強磁性QCPを発見しました。 本研究は慶応大学の中村哲郎氏、的場正憲教授、神原陽一准教授(試料作製)との共同研究です。この結果はPhysical Review Letters誌へ掲載されています。preprint ⇒もっと読む
2012年10月のTopicsの図1
CeFePOにおけるメタ磁性的ふるまいとKondo breakdown [2011年12月]
メタ磁性とは外部磁場に対して磁化が急激に増加する現象です。重い電子系では多くの物質でメタ磁性的振る舞いが報告されていますが、その起源はいまだに解明されていません。今回私たちは二次元的な結晶構造を持つ重い電子系物質CeFePOにおいてab面方向に4 T程度の磁場をかけることでメタ磁性的振る舞いが現れることを発見しました。加えて、他のメタ磁性物質との比較から重い電子系物質におけるメタ磁性と近藤効果の消失(Kondo breakdown)との密接な関係を示唆する結果を得ました。 本研究は京都大学の池田浩章氏(バンド計算)、東京工業大学の細野秀雄氏、慶応大学の神原陽一氏(試料作製)との共同研究です。この結果はPhysical Review Letters誌に掲載されています。 ⇒もっと読む
2011年12月のTopicsの図1
NMR,NQRから見た鉄系超伝導体La(Fe1-xZnx)AsO0.85における非磁性不純物効果 [2011年04月]
2008年に発見された鉄系超伝導体はその高い超伝導転移温度などから注目が集まっています。この鉄系超伝導体の発現機構を探る上で超伝導電子対の対称性を知ることは重要な課題だと考えられます。これまでの様々な実験や理論から鉄系超伝導体LaFeAsO1-yの超伝導電子対の対称性の有力な候補として従来型のs波、超伝導ギャップ間の位相の符号が反転しているs±波が挙げられています。超伝導への不純物効果はこれら2つの対称性を区別する手段として有効です。私たちは物質・材料機構の室町英治氏、山浦一成氏らと共同で、LaFeAsO0.85におけるZn置換効果を微視的に調べました。本研究によってLaFeAsO0.85の超伝導性はZnを3%置換することで消える一方、結晶構造・電子構造はZn置換にほとんど影響されない事が明らかになりました。この結果はZnが超伝導にたいして非磁性不純物として働いており、鉄系超伝導体の超伝導対称性が従来型のs波ではなく、s±波のような非従来型超伝導であることを示唆しています。この結果はPhysical Review B誌に掲載され、Editors' Suggestionに選ばれました。 ⇒もっと読む
2011年04月のTopicsの図1
鉄系超伝導体LaFeAs(O1-xFx)におけるNMRから見たストライプ型スピン相関と超伝導の関係 [2010年06月]
鉄系高温超伝導体LaFeAs(O1-xFx)では、母物質がストライプ型反強磁性転移を示し、フッ素ドープによってこの反強磁性転移が抑えられところで超伝導相が現れるため、超伝導と反強磁性との関係に興味が持たれています。私たちの研究グループは、東工大の細野秀雄教授、神原陽一研究員らと共同し、核磁気共鳴法(NMR)を用いて、超伝導と反強磁性との関係を調べています。本研究では75As核のスピン-格子緩和率1/T1の異方性からLaFeAs(O1-xFx)におけるストライプ型スピン相関と超伝導の関係を明らかにしました。この結果はPhysical Review B誌に掲載されています⇒もっと読む
2010年06月のTopicsの図1
NMRで見る鉄系超伝導体BaFe2(As0.67P0.33)2の物性 [2010年01月] (first author: Yusuke Nakai)
鉄系超伝導体においては様々なドーピングによって超伝導が発現することが知られています。最近、Asの一部をAsと等価数のPで置換することによってキャリアをドープせずにTcが30 Kにも上る超伝導が出現するBaFe2(As1-xPx)2が発見されました。この系ではキャリアをドープしないためFermi面を大きく変化させないと考えられることから鉄系超伝導体の発現機構の解明に重要であるとして多くの注目が集まっています。今回、私たちの研究グループは固体電子物性研究室の松田祐司教授、芝内孝禎准教授、京都大学低温センターの寺嶋孝仁教授、笠原成博士らと共同で、核磁気共鳴法 (NMR)を用いて、BaFe2(As1-xPx)2 (x = 0.33, Tc = 30 K)における常伝導状態、超伝導状態の物性を微視的に調べました。この結果はPhysical Review B誌に掲載されています⇒もっと読む
2010年01月のTopicsの図1

論文・発表リスト