Last updated: Oct.16, 2016

京都大学 固体量子物性研究室

You're カウンターth visitor since Sep. 2002.

ようこそ京都大学 固体量子物性研究室ホームページへ!!

固体量子物性研究室は前野悦輝教授・石田憲二教授・米澤進吾助教・北川俊作助教のもと、総勢約20名で活動をしています。


お知らせ

修士課程・博士後期課程への入学や、当研究室で担当している課題研究Q4(卒業研究)、課題演習B4に興味のある方は、研究室スタッフまでお問い合わせ下さい。


News

スピン三重項超伝導体Sr2RuO4から強磁性体SrRuO3へのスピン三重項超伝導対の直接注入とその観測に成功しました。論文がNature Communications誌に掲載されました。当研究室のPDのAnwarさんが中心となって行った仕事です。

2016年10月11日、トポロジカル超伝導体の可能性が示唆されている超伝導体CuxBi2Se3の比熱の回転対称性に関する論文 Thermodynamic evidence for nematic superconductivity in CuxBi2Se3 がnature Phys.誌に掲載されました。
同誌の注目論文を紹介するNews and Viewsに紹介記事が掲載されたほか、 京大HPにプレスリリースが掲載され、 京都新聞日刊工業新聞で紹介していただきました。

京大基礎研究物理学研究所の研究会「超伝導研究の最先端: 多自由度、非平衡、電子相関、トポロジー」 (2016年10月10日〜12日 京都大学基礎物理研究所)で当研究室のメンバーが発表します。

日本物理学会秋季大会 (2016年9月13日〜16日 金沢大学) で当研究室のメンバーが発表します。講演タイトル・番号はこちら


Recent Topics

超伝導体Sr2RuO4の精密なスピン磁化率測定

超伝導体Sr2RuO4ではスピン三重項対の実現が期待されていますが、ab方向の上部臨界磁場が異常に抑制されて一次相転移で超伝導が消失するなどの、これまでの仮説では理解できない現象が報告されています。 スピン三重項対の実験的根拠の1つとして、スピン帯磁率に対応する核磁気共鳴(NMR)のナイトシフト(共鳴線のシフト)が超伝導状態で減少しないという結果があります。この結果を検証するために、当研究室において、 測定精度を向上して99Ru核のNMRを改めて行ったところ、超伝導状態でスピン磁化率がわずかに増大することが明らかとなりました。 その一方で、一次相転移に伴ってNMRスペクトルが不連続に大きく跳ぶなどの異常が存在して99Ru NMRでそれを見逃している可能性が完全には排除できません。 99Ru核の結合定数は大きいので、この可能性の検証には広範囲なスペクトルの測定が必要ですが、信号強度が弱い99Ru NMRではそれは容易ではありません。

今回我々は、17O核を同位体置換したSr2RuO4に対して酸素核磁気共鳴を行い、一次相転移の領域も含めてナイトシフトを測定しました。 17O核は99Ru核に比べると電子との結合が小さく、かつ信号強度が強いことから、スピン帯磁率の大きな変化の有無を判別するのに適しています。 その結果、どの測定磁場においても、ナイトシフトの減少などの異常は検出されませんでした。 スピン一重項対の場合でも、共鳴線のシフトは観測が可能な範囲に収まるので(下図)、今回の結果から、スピン帯磁率が一次相転移に伴って突然減少する可能性がより低くなったと考えられます。 しかしながら、依然として磁場によるSr2RuO4の超伝導の抑制は未解決の課題であり、今後の研究の進展が望まれます。

この結果はPRB誌に掲載されました。

Sr2RuO4における17O NMRスペクトル
Sr2RuO4における17O NMRスペクトルの温度変化。ab方向の1.3 Tの磁場下(一次相転移)で得られた結果である。 Sr2RuO4には異なる酸素サイトが存在するため、ab方向の磁場では3本の共鳴線が観測される。 中央の共鳴線[O(2)サイト]を基準にとることにより、他の2つのサイトの精密なナイトシフトが得られる。 下向きの矢印はスピン一重項対の場合に期待される共鳴線の位置を表す。
超伝導体Sr2RuO4における磁気ゆらぎの増大[2016年10月]

超伝導体Sr2RuO4ではスピン三重項対が実現している可能性がありますが、その場合、超伝導状態でクーパー対がスピン自由度を持ちます。そのため、この自由度に起因する、スピン一重項超伝導体には見られない様々な現象が期待されます。そのような状況の下、先行研究の酸素核17Oに対するゼロ磁場下の核四重極共鳴において、核スピン―格子緩和率1/T1が超伝導状態で異常な振る舞いをすることが報告されています[1]。これはクーパー対がスピン自由度を示唆する興味深い結果ですが、関連する実験報告が他になく、その詳細を理解するためにはより詳細な実験的、理論的研究が望まれてきました。

今回我々は、超伝導を担う電子との結合のより強いルテニウム核101Ruに対して核四重極共鳴をゼロ磁場下で行い、その核スピン―スピン緩和率1/T2が超伝導状態で増大することを明らかにしました(下図)。良質の試料の方が増大が大きいこと、および超伝導が消失する磁場下で増大が見られないことから、今回観測された1/T2の増大はSr2RuO4の超伝導の固有な性質であると考えられます。この異常な増大は、先行研究も踏まえると、c軸方向の低エネルギーの磁気ゆらぎが発達することを示唆しており、上述の先行研究と定性的に整合的です。また、いくつかの強相関系のスピン一重項超伝導体では、1/T2は超伝導状態で減少することが知られています。 したがって今回の結果はSr2RuO4におけるスピン三重項対を支持する結果の1つと言えます。1/T2の増大の詳細な原因は本研究では解明されず、それは今後の課題です。

この結果はPRB誌に掲載されました。

Sr2RuO4における101Ru核スピン―スピン緩和率1/T2の温度依存性
Sr2RuO4における101Ru核スピン―スピン緩和率1/T2の温度依存性。測定が行われた2つの試料とも、緩和率が超伝導状態(約1.5 K以下)で増大している。試料1と2では前者の方が良質で、その違いは緩和率の増大の強さにも反映されている。また、上部臨界磁場を超える磁場(c軸方向に3 T)のもとでは低温でも緩和率の増大が見られない。

What's New

2016/11/27
発表論文リスト最近のトピックス一覧を更新しました。
2016/11/26
研究内容を更新しました。
2016/11/21
発表論文リストを更新しました。