家・服部のセント・アンドリュース出張報告

イギリス St. Andrews大学にて8月30日から9月8日に行われたCM-DTC Summer School 2010にM2の家・服部が参加し、8月31日にはポスター発表を行いました。また、セント・アンドリュース大学のA. P. Mackenzie教授の研究室に訪問し、我々の研究内容の発表や彼らの研究内容に関する情報交換を行い共同研究についての打ち合わせをしました。これはその出張報告です。

日程

滞在の日程はこんな感じでした。

8/29(日)関西国際空港 発→羽田空港 着

     羽田空港 発→成田空港 着(バス)

     成田空港 発→ヒースロー空港 着

     ヒースロー空港 発→エジンバラ空港 着

     エジンバラ市内ホテル宿泊

8/30(土)エジンバラ 発→セントアンドリュース 着(バス)

8/30(日)-9/8(火)CM-DTC Summer School 2010参加。@St. Andrews大学

9/8(水)セント・アンドリュース 発→エジンバラ 着(バス) トロント・ピアソン国際空港 着 (11:15)

     エジンバラ市内ホテル宿泊

9/9(木)エジンバラ空港 発→ヒースロー空港 着

     ヒースロー空港 発 (機中泊)

9/10(金)→成田空港 着

     成田空港 発→伊丹空港 着

CM-DTC Summer Schoolについて

CM-DTCとはThe Scottish Doctoral Training Centre in Condensed Matter Physicsのことを指します。将来の物性研究を担う大学院生の教育を目的として、St. Andrews大学・Edinburgh大学・Heriot-Watt大学の三つの大学の連携により設立された機関で、今回のようなSummer Schoolをはじめ、授業や実験技術教育、会議やワークショップ等を催しています。私たちが参加したSummer SchoolはこのCM-DTCが主催するもので、hostとなる大学は前野教授ともルテニウム酸化物の共同実験などで関係の深いA. P. Mackenzie教授のいるSt. Andrews大学です。参加メンバーは40名程度でした。CM-DTCの学生はもちろん、それ以外のイギリスの大学や、他国から来ている人もいました。

イギリス地図
イギリスの地図。セント・アンドリュースの位置が赤い矢印で示してあります。

エジンバラへ

初日(8/29)は移動日。朝4時半頃起きてMKタクシーで関空へ。 関空から羽田へ。羽田から成田へバス移動。成田→ヒースロー→エジンバラと大きなトラブルなく順調に移動できました。

エジンバラ空港
エジンバラ空港を出て、迎えてくれた"Welcome To Edinburgh"の文字。「海外に来たんだなあ」という実感が少しずつ湧いてきます。ここからバスに乗り、空港からエジンバラ市内へ。
時計台
バスから降りた時にはこんな時間でした。Princess Streetの時計台に月がぼんやり浮かんでいます。さすがに夜は寒かったです(エジンバラの平均気温は15℃くらい。この頃、日本は35℃近くでした)。
ホテル一日目
泊まったホテル。一日中慣れない飛行機や海外での移動が続いて疲れたためか、すぐ眠りにつきました。

セント・アンドリュースへ

大学へ
8/30、昼のSummer SchoolのRegistrationに間に合うように、朝早くに起きてバスに乗り、St Andrewsへ。バスの中から取った一枚。モコモコしてるのはおそらく羊です。非常に天気が良く清々しいのどかな朝でした。
風景
田舎町な感じがいいですね~、うーん。
寮
Registrationの前に、8日間滞在することになるSt. Andrews大学キャンパス内にあるNew Hallという寮によって荷物を置くことに。かなり綺麗でベッドも大きく、居心地の良い部屋で良かったです。
lunch
registrationを終え、Common Roomに昼食を取りに行く。サンドイッチやフルーツ、キッシュ等があり、とてもおいしかったです。授業がある平日はこのCommon Roomで昼食やCoffee Breakを取ることができます。
Old Course
14:30の最初の講義まで時間があったので、大学のすぐ隣にあるゴルフの聖地Old Courseに行ってきました。
海
ゴルフコースは海に面しており、潮風が心地よかったです。
ウサギ
キャンパスにはウサギがそこかしこにいました。
イギリスのお菓子
せっかく海外に来たので、滞在中にできるだけ日本で食べれなそうな濃い味のお菓子・ジュースを飲食してみることに。左はココナッツ味のチョコで右はイチゴジュースです。期待した通りの味でした。

Summer School

講義初日

最初はSr3Ru2O7などの酸化物の量子凝縮相の研究を専門とするMackenzie教授の講義でした。量子臨界性の議論への導入として、自由電子気体、フェルミ液体について触れ、一次・二次相転移の挙動の違いについて説明してくれました。

Coffee Breakを挟み、続く超流動3Heの研究を専門とするGeorge Pickett教授の講義でもフェルミ気体の有効質量が増大したものとしてのフェルミ液体の基本的性質について説明がありました。

街中
その後、New Hallにて夕食を取り、服部君と少しSt Andrewsの街の方へ散歩に行きました。夜だったので店はほとんど閉まっていましたが、地理感覚をなんとなくつけて、New Hallに戻り、就寝しました。

翌日以降は平均1日3コマの授業と1コマのグループディスカッションしながら演習問題を解くという流れで、一日中英語漬け、物理漬けの貴重な日々でした。

朝食
New Hallの朝食。ソーセージやハムが肉々しい感じでした。普通においしかったです。 イギリスにうまいものなし、と聞いて身構えていた私たちは少々拍子抜け(?)でした。
昼食休憩
講義が終わると1時間15分の昼食時間や30分の休憩を挟み、その間Common RoomでSummer Schoolに参加している学生たちと雑談したりして過ごしました。CM-DTCの学生はかたまることも多かったですが、私たちにも気さくに話しかけてくれたり、またこちらからも積極的に話しかけてみることで、なんとか会話することができました。自分のでたらめな文法から繰り出される目も当てられないような英語にも、彼らは呆れることなく一生懸命耳を傾け、意味を汲み取ってくれました。普段の研究室での英語発表の重要さ・会話のキャッチボールの重要さ・主張を持つことの重要さ・物理だけに留まらずいろんなことに興味を持つことの重要さなどを彼らとの会話から感じました。こうした刺激を修士のうちに感じることができた意味でもSummer Schoolの参加は貴重な経験でした。このような機会を与えてくださった前野教授に感謝します。
ポスター発表
8/31(2日目)のポスターセッションにてUCoGeのNMRの研究発表を行う服部君(写真左)。写真右は東京大学の高木教授の研究室所属の平井さんです。日本人の参加者は平井さんと我々の三人でした。

2日目以降は新たにDes McMorrow教授によるX線・中性子散乱についての授業が始まりました。

近くの海
授業の合間にちょっと足をのばせばこんなところに行けます。

9/4(土)休日

スコット記念塔
土曜日はエジンバラを観光することに。まずは市内中心部にあるスコット記念塔。待ち合わせ場所によく使われるそうです。エキゾチックな感じです。
エジンバラ城
スコット記念塔からやや南西に歩き坂を上るとエジンバラ城に至ります。入場前にアイス片手に一枚。
城頂上
頂上からの眺め。エジンバラ市内が見渡せます。それにしても良く晴れてますねー!
大砲
頂上には大きな大砲がありました。またone o'clock gun(日曜以外毎日13時きっかりに鳴らされる号砲)はこれとは別のところにあって、幸運にもちょうど聞くことができました。かなり大きな音で驚きました。
バグパイプおじさん
頂上にバグパイプを持ったおじさんが現れ、演奏を始めました。すぐにエジンバラ城の職員に注意され、演奏終了。どことなく所在無げなバグパイプおじさんと記念に一枚。
大道芸
エジンバラ城からホリールード宮殿へ向かうロイヤルマイルという大通り沿いでは、そこかしこで大道芸が行われていました。
ホリールード宮殿
ホリールード宮殿。12世紀に修道院として建造され16世紀から宮殿として使われ始め、現在は英国王室が使用しているとのこと。エリザベス女王のスコットランド滞在中の公式邸宅らしいです。中は撮影禁止でしたが、まさに王室といった贅沢な間取りでした。
YES SUSHI
ホリールード宮殿を出て、しばらく食べるところを探していると、怪しげな日本料理屋を発見。旅立つ前に研究室の先輩に言われた「イギリス行ったら変なもん食ってきた方がネタ的にはおいしい。」という言葉を思い起こし、入ってみることに。ところが意外とおいしく、私も服部くんもかなり満足してしまいました。
豆腐カレー
私の注文した、「豆腐カレー」。揚げた豆腐とカレーが意外なマッチが衝撃的でした。 観光し、お腹を膨らませ、お土産も買い、大満足でバスに乗りNew Hallへと帰りました。

9/5(日)休日

日曜の散歩
この日は私と服部くんは、午前中、海岸近くの墓地を散歩しました。墓地といっても非常に明るく風も心地良いのんびりできる場所でした。午後は各々の行きたいところに出かけることにしていました。

家編

ラン
こんな良い天気の日にのどかな海沿いの田舎街を走ったらどんなに気持ちいいだろう。ということで、私はSt Andrewsから17マイル離れた港街Anstrutherを目指して走りました。Anstrutherに行こうと思ったのは、先日のディナーでSt Andrews大学のClifford HicksさんやChristopher Hooleyさんに「遠出したいならUK No.1のFish&Chipsの店"Fish Bar"があるAnstrutherに行くといいよ」と勧められたからです。
教会
途中のいい感じの教会。
牛
走ってる途中、人よりも動物に多く出会いました。あまりに人を見かけなかったので、寂しくなって牛に英語で話しかけてみたりもしました。
廃屋
休憩がてら道から少し外れて海に出ると、これまたいい感じの廃屋がありました。見渡す限り人はおろか鳥すらおらず、波と風の音だけが聞こえました。夢の中にいるような気分になりました。
羊
羊。寝返りを打ったところでしょうか。何もないけど芝生の手入れは徹底的に行われています。ここだけでなくイギリスではどこも芝生はきちんと手入れされていました。
Anstruther
Anstrutherに到着。意外と観光客が多かったです。おそらく皆No.1のFish&Chipsを食べに来ていたのでしょう。まさに港町といった感じです。
Fish bar
噂のFish bar。店の中まで長蛇の列ができています。
UK No.1Fish&Chips
これが、そのNo.1 Fish&Chipsとコーラ。走ってくたくたになった後のワイルドな食事。おいしくないはずがありません。
灯台
食後はしばらくAnstrutherの町をぶらぶらして観光しました。バスでSt Andrewsまで帰りました。

休日が明けてからはまた3日間、Paul Chaikinさんによるコロイドなどの物理とGordon Baymさんによる超流動についての授業がありました。最終日9/8は授業が終わってからすぐにバスでエジンバラに向かい、ホテルに宿泊しました。翌日9/9と9/10はエジンバラ→ロンドン→成田→伊丹と飛行機で移動し、京都に無事到着。その後そのまま井原さん送別会に向かいました。

井原さん送別会
井原さん、北大の助教就任おめでとうございます!

終わりに

今回、このような英語漬け、物理漬けの貴重な機会を与えてくださり、ありがとうございました。海外経験の少ない自分たちにとってセント・アンドリュースでの経験は、異文化と触れ、それを受け入れるという国内ではできない貴重なものでした。 今回の経験を糧に、自分たちも立派な研究者に成長していきたいと思います。

出張中、St Andrews大学のAndy Mackenzie教授、CliffordHicksさん、東大の平井さんには特にお世話になりました。ありがとうございました。