博士課程2年B氏のある1日

ある大学院生(博士課程)の実験をしている1日です。2018年2月のある日のことです。


8時ごろ起床する。最近は早朝に起きられない。朝食をとって大学へ向かうと、教授、助教の先生は既に研究室にいるようである。地下の実験室の私が扱っている希釈冷凍機は、「高温」の1.6 Kで安定している。 数週間前にこの希釈冷凍機の配管の一部を研究室で交換修理したが、幸いそれ以来異常はない。ただ、昨晩からの測定データはノイズが大きく、さらなる積算が必要と判断し、そのまま放置する。

8時55分ごろ、デュワー(低温装置で、希釈冷凍機本体などを冷やす)に液体ヘリウムを移送(トランスファー)し始める。このデュワーはこの希釈冷凍機を使うと2.5日ごとにトランスファーが必要なので、次は夜間に行うのであろうか。 その間に希釈冷凍機の「窒素トラップ」と測定回路系の「窒素プリアンプ」にそれぞれ液体窒素を注ぐ。9時25分ごろ、ヘリウムのトランスファーが終了する。欲張って多めに入れたので、約42 Lを消費する。 9時50分ごろ、ヘリウムの残量の少ないベッセル(運搬容器)を液化棟に運び入れる。

10時ごろに居室に戻る。数名の院生・学部生が出席している。最近はこの時間帯でも多くのメンバーが来ており、感心する。 席に着いて、メールを確認する。今日は数か月後の国際会議の概要を書くことにした。締め切りは来週末であるが、こういうものは早く提出する方がよい。

11時20分ごろ、概要が形になる。先生に校正してもらおうと思ったが、先生は忙しく不在であった。そこで、4月中旬に締め切りの研究費関連の書類を書くことにした。

12時30分ごろ、書類作成を中断して実験の様子を見に行く。装置は安定しているが、相変わらずデータのノイズが大きく不明瞭である。 居室に戻ると助教の先生が「最近の疑問」の1つとして「測定の繰り返し時間が短い場合の核磁気緩和率の測定の妥当性」が気になるという話を修士課程の学生としていた。 これは計算問題であるので、さっそく考察してみる。

13時30分ごろ、ようやく問題が解ける。問題は単なる線形方程式に帰着するが、それまでに1時間も要してしまった。博士課程に進むとゼミの発表の担当もないので、計算能力が低下してしまったのであろうか。 気を取り直して、先生に計算結果と考察を述べる。「繰り返し時間が短い場合」でも、漠然と思っていたほど測定結果は変更を受けないようである。この結果を実験的にも確かめたい。

14時ごろ、普段よりも遅くに昼食をとる。食堂はこの時間帯は空いていて快適である。居室に戻って書類作成の続きを行う。「研究実施状況」には何を書けばよいのか。

15時30分ごろ、少し休憩。最近はこの時刻で疲れ始めて作業効率が低下する。少し運動不足かもしれない。その後、断続的に学部生から研究に関して質問を受ける。

18時ごろ、測定誤差が改善せず、やむなくこの温度での測定を断念する。1日分のマシンタイムが無駄になってしまった。希釈冷凍機の実験の困難さを改めて痛感する。 翌日の測定のために希釈冷凍機の循環を始めて最低温度(約0.1 K?)を目指す。調子が良ければ一晩で十分に冷えるはずである。

18時30分ごろ、多忙な教授の先生が戻ってくる。国際会議の概要の校正をお願いする。

19時ごろ、疲れたので帰宅しようとすると、助教の先生が再び居室にやってきて、「当研究室のwebサイトの充実化について」議論を始める。 「研究内容」の記事など増やすべしという結論に至った。私は「研究室の1日・1週間・1年」の1記事を担当することになり、本稿の執筆に至る。

19時30分ごろ、帰宅する。直前に早くも概要の校正結果が返ってきたが、修正は明日行おう。居室にはまだ多くのメンバーが残っている。

帰宅後は自炊の夕食をとって、入浴し、23時ごろに就寝する。