Ce(Ru1-xFex)POにおいて磁気相関の次元性を変化させることにより強磁性量子臨界点が現れることを発見

私たちは二次元的な結晶構造を持つ重い電子系物質Ce(Ru1-xFex)POを用いて強磁性の量子臨界現象に関して調べています。すでに先行研究において、二次元的な結晶構造を持つ重い電子系物質Ce(Ru1-xFex)POでFe置換量xを変化させることで絶対零度における二次の相転移点、量子臨界点(Quantum Critical Point; QCP)が現れる特異な相図を示すことを明らかにしました。Ce(Ru1-xFex)POで得られた相図は従来強磁性量子臨界物質の相図と大きく異なるため、その相図の相違の起源に興味がもたれます。

これまでに反強磁性QCPについて多くの研究がなされてきましたが、強磁性転移に関しては極低温で転移の次数が二次から一次に変化することが理論、実験の両面から報告されており、強磁性QCPが本質的に存在するかどうかという点に関して近年問題になっています。

本論文ではFe置換によって磁気的性質がどのように変化するかを31P-NMR測定を用いて調べました。

(1)図1はナイトシフトKと核スピン-格子緩和率1/T1TのFe置換依存性です。CeRuPO(x = 0)で、線型だった二つの物理量の比例関係はx = 0.25で1.5乗に変化しています。これは波数空間における磁気相関の次元性がFe置換で2次元的になっていることを示しています。

(2)図2はc軸、面内方向のスピンゆらぎのFe置換依存性です。Fe置換に伴いc軸方向のスピンゆらぎが急激に抑制されていることがわかります。

これらの結果はCe(Ru1-xFex)POではFe置換によって磁気相関の次元性が波数空間、スピン空間両方において2次元的になり、磁気秩序温度が抑制されていることを示しています。つまり、従来の強磁性量子臨界相図との相違は制御パラメーターの違いから来ていることが示唆されます。従来の場合磁気秩序温度は磁気相関の強さによって制御されていました。

2013年2月のTopicsの図a
図1 : ナイトシフト(磁化率)vs 核スピン-格子緩和率のFe置換依存性。
2013年2月のTopicsの図b
図2 : c軸、面内方向のスピンゆらぎのFe置換依存性

本研究は慶応大学の中村哲郎氏、的場正憲教授、神原陽一准教授(試料作製)との共同研究です。この結果はJ. Phys. Soc. Jpn.誌に掲載されています。またこの論文はEditors' Choiceに選ばれました。

論文情報

Shunsaku Kitagawa, Kenji Ishida, Tetsuro Nakamura, Masanori Matoba, and Yoichi Kamihara
Journal of the Physical Society of Japan 82 033704 Feb 2013