(La0.87Ca0.13)FePOの超伝導状態における奇妙なスピンダイナミクス

鉄砒素系高温超伝導体LaFeAs(O1-xFx)の、ヒ素AsをリンPに置き換えた物質も7 K程度の超伝導体になることが知られています。 今回、我々の研究室では、東工大の細野秀雄教授と神原陽一研究員らと共同で、(La0.87Ca0.13)FePOにおいて、P およびLa-NMRを用いて、この物質が常伝導状態において二次元的な弱い強磁性揺らぎをもつこと、超伝導転移温度以下で1/T1Tが増加する振る舞いを示すことを明らかにしました(図参照)。この振る舞いは、通常の超伝導体では見られない奇妙な振る舞いであり、この物質では超伝導転移温度以下でなんらかの低エネルギーのスピンダイナミクスが発達し始めることを示唆しています。

2008年8月のTopicsの図1
図:(La0.87Ca0.13)FePOにおける、P核のスピン格子緩和率1/T1Tとac磁化率の温度依存性。通常、超伝導転移温度Tc以下では、超伝導ギャップが開くため、1/T1Tが減少するという振る舞いが見られる。しかし、この物質では Tc以下で、通常とは逆に1/T1Tが上昇するという奇妙な振る舞いが観測された。

この結果は、Phys. Rev. Lett.誌に掲載されました。

論文情報

Yusuke Nakai, Kenji Ishida, Yoichi Kamihara, Masahiro Hirano, and Hideo Hosono
Phys. Rev. Lett. 101 077006 August 2008