課題研究Q4(卒業研究)「超伝導と磁性」

担当教官
前野悦輝(5号館138号室)、石田憲二(5号館140号室)、米澤進吾(5号館139号室)、北川俊作(5号館140号室)
ティーチング・アシスタント(TA)
真砂全宏(5号館134号室)

はじめに

本課題研究では、超伝導やスピン秩序など、電子多体系の示す多彩な現象を研究します。

前期はBardeen-Cooper-Schrieffer (BCS) 理論など、超伝導の基礎を理解するためのセミナーが中心です。

後期は各自の研究テーマを選び、スピン三重項超伝導体をはじめ、多様な超伝導や磁気的性質を示す物質を合成し、低温での比熱、電気抵抗率、磁化率、核磁気共鳴(NMR)などの測定をもとに、それらの量子物性の理解をめざします。

いずれの場合でも、各自が「自分だけの卒論テーマ」に沿って研究することが出来ると同時に、 まだ誰にも答えが知られていない部分を含むテーマに挑戦します。 卒業研究の間に、少なくとも一度は「ヤッター!」と歓声をあげるような成果に出会ってもらえるのが目標です。

2016年度スケジュール

スケジュールは決定し次第随時更新していきます。

2016年6月22日(水) 小発表会
2016年9月(院試終了後) 実験スタート
2016年12月14日(水) 中間発表会
2017年2月 最終発表会
2017年2月 卒業論文第1版提出締切

セミナー

毎週のセミナーでは超伝導の教科書を用いて、超伝導の基本的性質、Bardeen-Cooper-Schrieffer (BCS) 理論、Ginzburg-Landau理論等を学びます。量子力学、統計熱力学、電磁気学の知識を総合的に活かした学習になります。

これまでに用いた教科書は以下のとおりです。

2016年度 [前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
P. G. de Gennes, "Superconductivity of Metals and Alloys" revised ed. (Westview Press, 1999).
[後期] 青木秀夫, "超伝導入門" 第2版 (裳華房, 2009).
2015年度 [前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
[後期] Michael Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed. (Dover Publications, Inc., 1996).
2014年度 [前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
[後期] Michael Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed. (Dover Publications, Inc., 1996).
2013年度 [前期] 斯波弘行, "固体の電子論" (和光システム研究所, 2010).
A. A. Abrikosov, "Fundamentals of the Theory of Metals" (North-Holland, 1988) Part II (Superconducting Metals).
[後期] 家泰弘, "超伝導" (朝倉書店,2005).
2012年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2011年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2010年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2009年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2008年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2007年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2006年度 M. Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed. (McGraw-Hill, 1975,1996).
2005年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善, 1996).
2004年度 M. Tinkham, "Introduction to Superconductivity" 2nd ed. (McGraw-Hill, 1975,1996).
2003年度 斯波弘行, "固体の電子論" (丸善,1996).
2002年度 A. A. Abrikosov, "Fundamentals of the Theory of Metals" (North-Holland, 1988) Part II (Superconducting Metals).
2001年度 P. G. de Gennes, "Superconductivity of Metals and Alloys" (Addison-Wesley, 1966,1989).

実験内容

研究遂行にあたって試料合成にやや重点のあるテーマや、測定装置の製作にやや重点のあるテーマがあります。 最近のテーマの例は、スピン三重項超伝導の研究、トポロジカル絶縁体・超伝導体の研究、 重い電子系物質や鉄系超伝導体関連物質の研究などです。 いずれのテーマでも、超伝導や磁性体の最先端の研究にちょっと触れることができます。

試料合成では、赤外線加熱炉などを用いた単結晶育成、各種合成炉を用いた新物質合成の挑戦などを行います。

測定は液体ヘリウムを用いた低温実験が中心となります。装置としては、0.3 Kまで冷却できるヘリウム3冷凍機や10 mKまで冷却できるヘリウム3-ヘリウム4希釈冷凍機なども用います。 また、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた超高感度磁化測定装置や、ピエゾ素子を用いた試料回転装置などの製作を含むテーマもあります。 そして、電気抵抗率、磁化率、比熱、核磁気共鳴などの測定を通して、超伝導体や磁性体の多彩な量子物性を探ります。

これまでのメンバーと卒業論文題目

2015年度

浦井 智崇 59Co NQRを用いたU6Coの研究
岡本 賢志郎 単結晶U6Coの59Co-NMRによる研究
國枝 正直 SrRuO3/Sr2RuO4ハイブリッド構造でのスピン三重項超伝導体の近接効果
中田 勝 比熱測定セルの開発

2014年度

池田 敦俊 ルテニウム酸化物へのホールドープ
高木 亮一 磁性体の合成及び磁気秩序の探索
田尻 兼悟 トポロジカル超伝導体の比熱測定
成塚 政裕 新奇物質測定にむけて 磁気抵抗測定用3He-4He希釈冷凍機の立ち上げ

2013年度

杉本 雄亮 SrTiO3の電場誘起超伝導への酸素同位体置換効果
花岡 洋佑 核磁気共鳴法を用いた鉄系超伝導体LaFe(As1−xPx)Oの物性研究
真砂 全宏 209Bi-NMR/NQRを用いたBa2Bi3の研究
安井 勇気 Sr2RuO4およびNb-μリングにおけるLittle-Parks振動

2012年度

新井 健司 IrSe系のNMRを用いた研究
竹中 耕平 電場誘起超伝導体の研究
柴田 大輔 Thermal Hall effectの研究
杉本 大輔 UCoGeのNQRを用いた研究

2011年度

川島 裕貴 新奇超伝導体探索
下田 愛子 鉄系超伝導体の合成と評価
立石 圭児 重い電子系物質の合成
宮崎 慈生 Sr2RuO4の微小試料の伝導特性

2010年度

梶川 知宏 Sr2RuO4の熱測定
中村 昌幸 新奇超伝導体探索
前川 紘紀 鉄系超伝導体のNMR/NQRを用いた研究

2009年度

石川洵 三角格子磁性体の輸送特性の研究
軽部皓介 重い電子系化合物のNMR/NQRを用いた研究
柵木厚介 鉄系超伝導物質のNMR/NQRを用いた研究
松坂純輝 新奇超伝導物質探索

2008年度

谷口 晴香 超伝導近接効果の研究
山岸 達哉 酸化物に対する電場効果の研究
服部 泰佑 NMR・NQRによる重い電子系超伝導の研究
池田 達哉 NMRによるFe系超伝導体の研究

2007年度

北川 俊作 導電性酸化物の設計と合成
中川 竜司 Sr2RuO4の超伝導接合の作成と評価
岡本 純一 NMRによる重い電子系超伝導の研究
山本 彗 NMRによるFe系超伝導体の研究

2006年度

島居 宣博 導電性酸化物の電子状態の研究
中村 壮智 Granular Sr2RuO4におけるスピン三重項超伝導ネットワークの研究
林 優二郎 NMRによる超伝導ギャップの研究
矢野 史朗 Sr2RuO4における超伝導転移温度の一軸性圧力依存性

2005年度

小野寺 真吾 磁気熱量効果によるスピン三重項超伝導体Sr2RuO4の新しい超伝導相の検出
久我 健太郎 重い電子系新物質の低温物性研究と超伝導探索
中村 秀司 Sr2RuO4の単結晶育成の最適化と一軸圧による超伝導転移温度の変化
村主 崇行 スピンアイスの磁気緩和シミュレーション

2004年度

大西 高史 擬2次元Mott転移系Ca2-xSrxRuO4金属絶縁体転 移点近傍(x=0.2)の物性
加納 聖士 常磁性塩CMNを用いた断熱消磁冷却 幾何学的フラストレーションを持つ系の測定に向けた熱スイッチとセルの評価
橘高 俊一郎 Sr2RuO4-Ru共晶体における超伝導転移温度の一軸性圧力依存性
久田 旭彦 幾何学的フラストレーション磁性体関係
平野 大輔 Co-NQRを用いたNaxCoO2·yH2Oの試料依存性の 研究

2003年度

鎌田 宗康 幾何学的にフラストレートした磁性を持つモット絶縁体と金属絶縁体転移
殿村 宏史 幾何学的フラストレーション磁性体関係
中井 祐介 101Ru-NQRから見た不純物としての3K相とSr2RuO4-Ti, Ca系
弓削 達郎 パイロクロア酸化物Dy2Ti2O7の残留エントロピーを利用 した磁気冷却
山下 真 Sr2RuO4-Ru共晶系における3K相の転移温度

2002年度

井原 慶彦 重い電子系物質YbCu5のCu-NMR-NQR
佐藤 功 SQUIDを用いたSr2RuO4に対するc軸方向への一軸圧力による転移温度の変化 の測定実験
佐藤 剛 LaFe4P12のNMRによる研究
森本 隆之 3K超伝導体Sr2RuO4-Ru共晶体の同位体効果
米澤 進吾 Ag5Pb2O6の合成および物性測定

2001年度

北川 健太郎 交流磁化率によるSr2RuO4の超伝導二段転移の試料依存性
坂井 修 Pyrochlore型酸化物Dy2Zr2O7の低温物性
大屋 雄 金属の水素導入における低温物性
Tran Thanh Trung Angle-Dependent Magnetoresistance Oscillation in OrganicSuperconductor β-(BDA-TTP)2SbF6
矢野 賢太郎 パイロクロア酸化物Cd2Re2O7の超伝導

2000年度

東中 隆二 Pyrochlore型酸化物Dy2Ti2O7の低温物性
山田 真弘 水素化金属の超伝導
吉岡 正樹 SQUIDを利用した高感度磁化測定装置による、Sr2RuO4-Ru共晶体の超伝導 転移の観測
採田 祥治 Sr2Ru1-xTixO4の 面内・面間電気抵抗率
辻 幸秀 Al2O3を絶縁体膜とする電場効果ドーピング

1999年度

鈴木 誠 The effects of Coulomb interaction and impurity density to the localization length in one-dimentional electrons
柳島 大輝 新物質Ln2Ir2O7Ln=Pr, Sm) の 'Metallic Spin Ice' 的物性
和田 将彦 Tc=3Kの超伝導を示す新たなSr2RuO4-Ru 共晶体及び上部臨界磁場の角度依存性
久保 拓右 SQUIDを用いたマイスナー効果の測定
西守 有人 PdHxの超伝導

1998年度

神谷 聡 高導電性ポリアセチレンに対する弱局在の理論の適用
出口 和彦 SQUIDを利用した高感度磁化率測定装置による(BEDT-TTF)4Hg2.89Br8の 超伝導転移の観測
永井 修一 Sr2RuO4の超伝導の一軸圧力効果
上藤 哲嗣 有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)2Cu(NCS)2における Shubnikov-de Haas振動振幅の磁場方向依存性
岩本 孝昌 不純物効果によるSr2RuO4の磁気秩序の誘起
大澤 直樹 新層状遷移金属酸化物LnSr2-xLax(Ni, Zn)2RuO8(Ln=Sm,Eu, Gd) の合成及びその超伝導相の探索

1997年度

秋間 崇 Sr2RuO4の超伝導パラメーター
野村 拓司 超音波電磁波変換を用いたBi2Sr2CaCu2O8+δに おける磁束ピン止めの研究
深澤 英人 Kadowaki-Woodsの関係の異方的な系への拡張
南方 雅成 Kadowaki-Woodsの関係の異方的な系への拡張
安立 裕人 角度依存磁気抵抗振動の解析によるSr2RuO4のFermi面の測定
仁張 茂樹 断熱法比熱測定装置の製作とSr2RuO4の比熱測定

1996年度

石原 博史 有機超伝導関係
金 海永 Mott絶縁体Ca2RuO4の置換による金属化の試み
下城 義朗 有機超伝導関係
武田 輝久 Sr2RuO4のMeissner効果