Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries

ニュースになったサイエンス

「最大のバンドギャップを持つ トポロジカル絶縁体」:安藤陽一

2010年10月01日 科学新聞
東北大、阪大グループ発見 次世代省エネデバイスへ応用期待
(記事より部分的に引用)
 東北大大学院理学研究科の佐藤宇史准教授、同大原子分子材料科学高等 研究機構の高橋隆教授、大阪大学産業科学研究所の瀬川耕司准教授、安藤陽一教授らの研究グループはこのほど、次世代省エネデバイスへの応用などで注目を集めている「トポロジカル絶縁体」の中で最も大きいバンドギャップ(※)を持つ新物質を発見した。
 固体には金属、絶縁体、半導体、超伝導体など色々な状態が存在いしているが、ここ数年、トポロジカル絶縁体と呼ばれる、従来の物質の状態とは全く異なる新しい状態が存在することが見いだされ、大きな話題となっている。このトポロジカル絶縁体では、内部(バルク)は電流を流さない絶縁状態であるのに、その表面には特殊な金属が現れる。
 東北大と阪大の共同研究グループは今回、Tl(タリウム)BiSe_2 の高品質大型単結晶を育成、外部光電効果を利用した角度分解光電分子光という手法を用いて、TlBiSe_2 から電子を直接引き出し、そのエネルギー状態を高精度で調べた。その結果、TlBiSe_2 が新型トポロジカル絶縁体であることが実験的に実証された。さらに観測されたバンドギャップの大きさ(0.35eV)はこれまでに見つかったトポロジカル絶縁体の中で最も大きいことから、これが室温で動作するデバイスへの実用に適していることもわかった。
 ※バンドギャップ=絶縁体や半導体において、電子が埋まっている状態(価電子帯)における一番高いエネルギーと、埋まっていない状態(伝導体)における一番低いエネルギーの差をバンドギャップという。バンドギャップが大きいほど絶縁状態は壊れにくくなり、熱に対してより安定となる。

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